
ホワイトハウス
報道官室
2006年11月16日
米国は、太平洋地域でプレゼンスを維持しなければならない。共通の機会をとらえ、共通の脅威に立ち向かうとともに、パートナー諸国を支援し、世界でも極めて重要なこの地域の至る所で、より希望に満ちた社会を築かなければならない。米国はアジアとのかかわりを今後も保ち続ける。米国の国益がアジア地域における自由と機会の拡大に左右されるからである。太平洋を挟む米国の対アジア貿易の規模は、大西洋の向こう側の国々との貿易を凌いでおり、米国の企業は、アジアの繁栄する経済と中流階級の台頭に、明るい未来を予測している。同時にわれわれは、テロ、拡散、疾病といった脅威が米国の繁栄を損ない、未来を危うくする可能性があることも認識している。
- 米国は長年、アジア全土で希望と機会の拡大を支援することがわが国の国益にかなうことであると認識しており、この方針を反映した政策を60年以上にわたり維持してきた。米国は、アジア製品に対して門戸を開放し、アジア地域に強固な軍事力を維持することによって、今日のように、人々の収入と機会が向上し、各企業が世界経済で競争し、貿易が増加する世界は機会が拡大する世界であると市民たちが認識している、近代的で自信に満ちたアジアの構築に貢献してきた。
より希望に満ちた社会を築くことは、世界的な貿易体制がもたらす機会を受け入れることから始まる
実質的な市場アクセスを実現する野心的なドーハ協定は、国際社会が設定した経済成長および開発の目標を達成する唯一の手段である。米国は、アジア太平洋地域の各国が、この極めて重要な交渉を再び軌道に乗せるために協力してくれると期待している。
より開かれた世界貿易に向けた機運を高めるために、米国は各国とも個別に交渉し、市場開放を促している。シンガポールやオーストラリアといったアジア太平洋経済協力会議(APEC)加盟国と交渉の末、自由貿易協定を締結しており、マレーシアおよび韓国とも同様の交渉が進行中である。太平洋の反対側の諸国については、米国はカナダ、メキシコ、チリとの間で自由貿易協定の締結に成功しており、ペルーとも交渉を終了した。
ブッシュ大統領は、APEC地域全体を対象とする自由貿易協定構想は、真剣な検討に値すると考えている。米国は、APECはこの地域で最も重要な経済フォーラムであり、太平洋を挟んで自由貿易と機会を拡大する多大な可能性を秘めていると考えている。APECがこの地域全体の経済成長と機会の拡大をリードする組織として、その影響力を高められるよう支援したいと考える。
より希望に満ちた社会の構築には、アジア太平洋地域が直面する諸課題に、力を合わせて取り組まなければならない
われわれは力を合わせて、アジアの経済改革が起きたときと同じ革新と起業の精神を発揮して、エネルギー技術で新たな革命を起こさなければならない。アジア太平洋諸国の経済が繁栄・拡大する中、われわれにとって最も差し迫って必要なことのひとつとして、低価格で信頼性の高いエネルギー供給がある。世界の5大エネルギー消費国のうち4カ国がAPEC加盟国であり、この地域のエネルギー需要は今後も増加を続けるであろう。
- 「クリーンな開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ」を通じて、米国はオーストラリア、中国、インド、日本および韓国と協力して、ベストプラクティス(最良事例)を共有し、新たなエネルギー技術を普及させようとしている。こうした新技術は、エネルギーの安全保障および大気質の向上、そして温室効果ガス排出の削減に貢献している。同パートナーシップは先月(2006年10月)、クリーンな石炭から再生可能エネルギーや、より効率的な建物までを網羅した100件近い新プロジェクトを発表した。
- 国際原子力パートナーシップを通じて、米国は、ロシア、フランス、日本など、原子力分野の指導国と協力して核兵器の拡散を防止する一方で、途上国による原子力の民生利用を支援している。
- APECバイオ燃料タスクフォースを通じて、米国はこの地域の各国と協力して、石油から、ヤシ油、サトウキビなど天然原料から作られるクリーン燃料に転換するための新たな方法を見つけようとしている。
われわれは、鳥インフルエンザの脅威に対処するために協力している。鳥インフルエンザのまん延を阻止するために重要な措置を講じており、世界中で大流行した場合に対処できるよう、できる限りの準備をしておくためにより緊密に協力している。APEC首脳会議では、各国首脳が、鳥インフルエンザが新たに発生した場合の報告義務、動物間の流行の拡大を阻止する義務、賢明な準備計画を実行する義務を再確認する。
米国はまた、HIV/エイズの流行との闘いにおいてもアジア太平洋諸国と協力し、特にベトナムに重点を置いて活動に取り組んでいる。2004年以降、米国は、ベトナムにおけるエイズとの闘いに1億3800万ドル以上を拠出している。
アジア太平洋地域における米国のパートナー諸国は、突然の災害発生時に米国を頼りにできることを知っている。2004年の津波発生の後、米国は、人命救助と、被害を受けた地域の再建支援のために、軍隊の派遣と人道支援を行った。
米国の取り組みは、災害時の対応にとどまらず、さらに大きく広がっている。フィリピン、インドネシアなどの国々が、世界経済で成功するための教育を少年少女に提供するのを支援している。
- 米国は、公正な統治を行い、国民に投資し、法の支配を実施する途上国に対して財政援助を行うために、ミレニアム・チャレンジ・アカウント(MCA)を設立した。フィリピンとの間でMCA敷居国プログラムに関する協定を結んでおり、間もなくペルーとも協議を開始する。また明日(2006年11月17日)、インドネシアとの協定に署名をする。
より希望に満ちた社会の構築には、安全保障の基盤が必要である
今日の世界で最も危険なことは、テロリストが大量破壊兵器を手に入れ、自由諸国を脅迫するために、または想像を絶する規模の殺人を行うために、そうした兵器を使用する可能性がある、ということである。アジア太平洋地域で最も差し迫った拡散の脅威をもたらしているのは、北朝鮮である。先の北朝鮮による核実験の後、国連安全保障理事会は、北朝鮮政府に対して制裁措置を課す決議を満場一致で採択しており、米国はこの制裁措置の実施に向けパートナー諸国と協力していく。また、6者協議を通じて、日本、中国、韓国およびロシアとの協力を継続する。
- 5カ国は、北朝鮮が前進できる唯一の道は、核兵器開発計画を放棄し、国際社会に再び参加することである、という点で意見が一致している。北朝鮮が最近、再び交渉のテーブルに着いて6者協議を再開することに同意したことは、心強い第1歩である。米国は協議の成功を願っており、自らの責任を果たすつもりでいる。しかし、最終的には、6者協議の成功の鍵は、北朝鮮の政権が握っている。北朝鮮政府は、核兵器と核開発計画を放棄するという合意を履行するための具体的な措置を取ることによって、本気であることを示さなければならない。
米国は、朝鮮半島の非核化の実現に向けて努力するとともに、アジア太平洋地域の防衛協力体制も強化している。北大西洋条約機構(NATO)の同盟を通じて安全保障協力が行われている欧州と異なり、アジアにおける米国の安全保障協力は、主として2国間の防衛関係を通じて行われている。米国は、新たな防衛関係を築くほか、既存の同盟関係を強化することによって、この地域における自由と穏健の勢力が、テロと過激主義の勢力に対して自衛できるようにしている。
- 米国は、この地域における多国間の安全保障協力体制の拡大も歓迎する。シンガポール、マレーシア、タイおよびインドネシアは、マラッカ海峡の警備を連携して行い、テロ、海賊行為、人身売買と闘っている。また、拡散に対する安全保障構想(PSI)を通じて、80カ国が、陸・海・空路での大量破壊兵器および関連物資の拡散を阻止するために協力している。
長期的には、安全保障を実現する最も確実な方法は、自由の拡大である。アジアの人々は、アジア全域で、自由が国家を変革する過程を目にしているため、自由の力を信じている。今日、大勢のアジア人が自由に暮らしており、そうした自由のおかげで、アジア各地の人々が創造的な能力を発揮し、アジア地域全体が繁栄を謳歌できるようになった。


駐日米国大使