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*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

(以下は、2006年5月1日付けウォールストリート・ジャーナル紙(A14面)に掲載されたポートマン通商代表とシュワブ次席代表の寄稿を、同紙の許可を得て翻訳し掲載したものです)

自由貿易のビジョン


ロブ・ポートマン米国通商代表部代表、スーザン・シュワブ米国通商代表部次席代表

2006年5月1日

 世界貿易機関(WTO)のドーハ・ラウンドは、予想通り、またも交渉期限を過ぎた。これは、トウモロコシからコンピューターまで、さまざまな製品の貿易障壁緩和の枠組みを設定するための期限である。米国は、WTO加盟国間の隔たりを埋める手段を見つける努力を続けており、われわれが今週ジュネーブに滞在しているのは、そのためである。ほとんどの国が、米国と同様、野心的で全面的な成果を目指している。また、これが貿易障壁を緩和し、生活水準を引き上げる、1世代に1度の貴重なチャンスであり、これを逃してはならないという点でも、ほとんどの国の意見が一致している。

  4年半前にドーハ・ラウンドが開始されたときから現在に至るまで、米国は、貿易拡大と開発促進のための野心的かつ包括的な多国間協定を目指して努力を続けている。われわれは、WTO加盟国が、一部で「ドーハ・ライト」と称されているような中途半端な措置で妥協すべきではないと考えている。

  大国、小国を問わず、また先進国、途上国を問わず、すべてのWTO加盟国にとって、これは大きな利害の関わる問題である。フランス、米国、日本、ドイツなどの先進諸国は、より多くの市場に製品・サービスを販売できるようになるという恩恵を受ける。ミシガン大学の調査によると、貿易障壁がすべて撤廃された場合、年間国内総生産が、ヨーロッパでは6.3%増、日本では6.2%増、米国では5.5%増になると推定される。開発途上国では、こうした国内総生産の増加の可能性がさらに大きい。世界銀行の推定では、完全自由化が実現すれば、WTO加盟国の3分の2を占める開発途上国の収入が、2015年までに最大2590億ドル増加するという。

  農業が引き続き成功のカギとなる。2001年のドーハ会議で、農業が中心的な課題となったのは、開発途上国における農業の重要性のためであり、また農業が最も貿易障壁の大きい分野となっているためである。途上国の貧困層の70%以上は、農村地帯に住んでおり、生活の手段として農業に依存している。このラウンドの成功によって世界の貧困層にもたらされる収入増の63%が農業分野における貿易開放によるものであり、そうした恩恵と収入増の93%が市場アクセスの改善に依存することは、驚くには当たらない。

  事実は明白である。関税引き下げによる新たな貿易の流れがなければ、ドーハ開発ラウンドの進展はない。

  野心的な成果を達成し、交渉を活性化させるために、米国は昨年10月、農業輸出補助金を廃止し、農業関税を大幅に引き下げ、貿易歪曲的な国内補助金を大きく削減するという、大胆な提案をした。この重要かつ前向きな提案は、国内における政治的なリスクを伴うものであるが、われわれは当時も、そして現在も、特に途上国にとってのこのラウンドの重要性にかんがみ、こうしたリスクを冒す価値がある、と信じている。

  その後、われわれの貿易パートナーからは、この提案と同様に野心的な提案が出されておらず、工業製品およびサービスの追加的な市場開放の前進が危ぶまれている。欧州連合およびその他の主なパートナー(途上国も含む)が、それぞれの市場を開放するための追加的かつ十分な措置を取らなければ、米国が、一方的に国内補助金制度を大幅に削減することに同意することはもちろん、農業に関する現在の提案を出し続けておくこともできない。われわれが6カ月間にわたって明らかにしてきたように、米国の提案は、WTO加盟国が、全面的に新たな市場アクセスおよび新たな貿易の流れに関する明確なドーハの達成目標を追求することを条件としていた。これは、農業、非農業製品、およびサービスという3つの交渉分野のすべてにおいて、市場アクセスに関する有意義な提案が出されることを意味する。 

  米国通商代表部のリーダーシップの移行がスムーズに行われているのは、米国がドーハ・ラウンドの成功に大きく力を入れていることを強調するものである。われわれの貿易パートナーが、それぞれの市場開放への決意をさらに強く示すことが、引き続き肝要である。自由貿易は、拡大する経済機会と繁栄と自由というブッシュ大統領の世界的ビジョンの中核を成すものである。国際的な貿易交渉において、大統領の考えを代弁するのが誰であろうと、このビジョンを追求するわれわれの努力は、途切れることなく、また変わることもない。米国は、経済的孤立主義および保護主義の勢力に対抗するという明白な選択をした。われわれは、最も楽な道を取ること、そして国際貿易システムにおける漸進的な、しかし不十分な変化を目指すことを拒否する選択をした。今、すべてのWTO加盟国が、同様の選択をする最後のチャンスをとらえる時が来ている。

  ロブ・ポートマンは米国通商代表部代表、スーザン・シュワブは同次席代表。(編集者注 – ポートマンは最近、行政管理予算局長に指名された。後任としてシュワブが通商代表に任命された)