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*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

米国の対アジア政策

コンドリーザ・ライス国務長官のヘリテージ財団での講演

ワシントンDC
2008年6月18日

 どうもありがとうございます。まず、親切なご紹介をいただいたフュルナー理事長にお礼を申し上げたいと思います。また、このスピーチをすることになったきっかけについても申し上げておきたいと思います。フュルナー理事長と話していたときに、「前回ヘリテージ財団で講演していただいたのはかなり前のことなので、アジア訪問の前に、もう1度ヘリテージでアジアの話をしていただけませんか」とお誘いを受けました。それで、今日ここでお話をすることになりました。

 本日は、大勢の友人がここにいらっしゃいます。お集まりいただいた皆さんにお礼を申し上げます。私は前回、米国のアジア政策、アジアの台頭、そして米国の対北朝鮮政策についてお話をしました。今日は、そうしたトピックのいくつかを、もう1度取り上げたいと思います。

 アジアの台頭は、今日の世界を再構築している重大な地政学的な動きです。しかし私の考えでは、大方の論評とは裏腹に、アジアにおける米国の立場は、むしろかつてないほど強まっています。過去60年以上にわたり、アジアにおける米国の外交・経済・軍事的な存在は、歴史的に緊張と不信と対立を特徴とするこの地域の大国間の関係を鎮静させる効果を発揮してきました。冷戦の終結以来、アジア諸国の富と力が拡大し意欲が高まるにつれて、アジアの台頭は、往々にして脆弱(ぜいじゃく)なアジアの安全保障関係の緊張につながり、アジアの将来はヨーロッパの過去のようになるのではないか、という懸念が生じてきました。

 これは、単なる理論上の懸念にとどまっておりません。米国の現政権発足当時、アジアの状況は確かに不安定でした。台湾海峡を挟んで緊張が高まっていました。EP-3機の緊急着陸事件で、米中関係が緊張していました。カシミールでの暴動が、インドとパキスタンを対立に向かわせていました。国家として機能不全に陥っていたアフガニスタンが、地域の不安定、そして後に明らかになったように、世界的な不安定の要因となっていました。そして、不法にウラン濃縮能力を追求していた北朝鮮が、核拡散防止条約からの撤退を宣言し、国際機関の査察官を国外追放し、プルトニウムの生産を再開しました。

 これらの活動により、アジア各地で緊張が高まりましたが、中でも、アジアで最も活力に満ち、歴史的に最も不安定な地域である北東アジアで緊張が高まりました。北東アジアは、日本、韓国、中国、ロシアという複数の大国が地政学的に交差する地域です。これらの諸国には長い競争の歴史があり、それが原因で、しばしば米国をも巻き込んで紛争が繰り返されてきました。米国も、その歴史の大部分を通じて、太平洋国家だったからです。

 2001年以降、北東アジアの平和と安全保障の見通しを向上させることが、ブッシュ政権の最優先事項のひとつとなっていますが、その努力は成功しつつあると思います。私たちは、同じ民主主義国家である日本および韓国との歴史的な同盟を再確認し、近代化してきました。米国とこれらの同盟国との関係は、引き続き地域の安定の柱となっており、私たちは、その範囲を拡大してきました。私たちは、日本が大国としての地位に見合った、より広範な国際的役割を果たそうと努力することを支援してきました。同様に、韓国との同盟を21世紀にふさわしいものとし、地域の安全保障強化のためだけでなく、世界的な課題に対処するために、この同盟を活用してきました。そして私たちが連邦議会に承認を求めている、強力な米韓自由貿易協定の締結によって、米国と韓国は、アジアにおける民主的な発展モデルの力と繁栄と魅力を強化することができます。

 米国と日本および韓国との同盟は、あわせて、機能不全国家やテロリズムの問題から兵器拡散や気候変動まで、現代の世界規模の課題に取り組み、私たちの共通の価値観をアジアや、それ以外のイラクやアフガニスタンのような地域でも推進するための戦略的な基盤となっています。同時に私たちは、中国およびロシアとの関係にも取り組み、事実、その関係を再構築してきました。私たちは、建設的なパートナーシップを築いてきました。こうしたパートナーシップは、確かに共通の価値観に基づくものではありませんが、往々にして共通の利害関係の上に成り立っています。

 私たちは、懸念される中国の軍事力強化が地域の脅威とならないようにし、中国がその無責任な政策を変えるよう強く促すために、米国の友好国・同盟国と協力しています。一方で、中国に敬意をもって接し、国際体制を不安定にする共通の世界的課題に取り組むために私たちと協力し、責任ある利害関係者として、台頭する自らの力を行使するよう中国に促してきました。

 ロシアに対しても同様の手法を取ってきました。懸念事項と相違点を提起し、合意できる分野を明らかにし、安全保障の強化からエネルギーおよび環境問題における協力まで、利害の共通する課題について協力しています。そして先ごろ、米国とロシアが協力しなければならない多くの課題を具体的に述べた、新しい戦略的枠組み合意に調印しました。米ロ関係は、複雑で、時に極めて困難なものですが、この合意は、今後何年間にもわたって、両国の関係の指針となり得るものです。

 総合すると、2001年以降、米国は北東アジアのすべての国家との関係を同時に改善してきました。私は政治学者ですが、これは過去には不可能なこととされていました。このほかにもアジアにおける戦略的な実績としては、新たに民主化されたアフガニスタンや民主化されたパキスタンとのパートナーシップ、そして台頭する民主主義大国インドと米国の関係の歴史的な変化が挙げられます。また、東南アジア諸国連合(ASEAN)とのパートナーシップを強化し、長年にわたる同盟国オーストラリアとの間で国際的な安全保障に関する新たな基本方針を確立しています。また、他の新興大国、特に民主化されたインドネシアとの関係を深めています。これらをすべて総合すると、アジアにおける米国の影響力の新たな戦略的基盤、つまりこの活力に満ちた地域で米国が今後何年もの間、自らの利益と価値観を推進することを可能にするパートナーシップの基盤になります。

 つまり、現在、米国と北東アジア諸国との関係は、北東アジア諸国同士の関係より良好です。そして米国は、この資源を貯め込む代わりに、使おうとしています。私たちは、この地域の大国同士が、相互の関係を改善し、より相互的な、ゼロ・サムの競争ではなく相互に有益な協力を特徴とする未来を築くことを支援しています。こうした、より広範に働きかけるやり方は、北朝鮮に関して私たちが取ってきた手法の基盤にもなっています。北東アジアには、地域の大国が集まって安全保障上の懸念事項を話し合う場が存在しません。そして過去には、朝鮮半島がこれら諸国間の紛争の主な火種となってきました。2002年に北朝鮮の行動をめぐって緊張が発生したときに、そのような事態が再び起こっていたかもしれません。

 米国は、異なる手法を取ってきました。2002年10月、ブッシュ大統領は、テキサス州クロフォードの牧場にある私邸の居間で、中国の江沢民国家主席と会見しました。大統領は、北朝鮮による核兵器の追求は地域的な問題であり、地域的な解決が必要であることを認識していました。彼は、江主席に、北朝鮮問題を平和的に解決するには中国が主要な役割を果たさなければならないということを、非常に明確な言葉で説明しました。またブッシュ大統領は、北東アジアのすべての主要関係国が共通の問題を解決するために協力するという6者外交のプロセス自体が、地域の安全保障に対する新しい考え方のモデルとなり得ることも認識していました。

 このようにして、私たちは危機をチャンスに変えようとしてきました。政治的な対立を生む潜在的要因を、協力の源泉に変えようとしてきました。そして、このより広範囲に働きかける政策から、いくつかの成功が生まれていることを申し上げておきたいと思います。2001年の状況とは対照的に、今、北東アジアの主要国間の緊張は、最近の記憶の中では最も緩和された状態にあります。日中関係、中韓関係、日韓関係は、いずれも改善されつつあります。

 6者協議の枠組みが、これらの画期的な進展をもたらしたわけではないことは事実ですが、これに貢献し、その一助となりました。米国が6者協議の議長国である中国を支援する決断を下したことも、中国政府が北朝鮮問題に関して責任をもって行動する強力な動機となっています。6カ国は、いずれこうした協力の構図を正式なものとし、北東アジアの平和と安全保障の仕組みを築くことについて話し合ってきました。

 しかし、現在、私たちの最優先事項は、朝鮮半島の検証可能な非核化を実現することです。この非核化という目標を達成するための約束はすべて、2国間ではなく6カ国間で交わされたものです。とは言うものの、6者協議の当事国は、外交を前進させるために、時として異なる組み合わせの会合が必要であることを認識しています。そこで、時には日本と北朝鮮、あるいはロシアと中国が会合を開いてきました。中国と北朝鮮は頻繁に会合を開いています。米国とその同盟国である日本と韓国が協議する場合もあります。そして、時には米国と北朝鮮が話し合うこともあります。

 私たちは今、米国も含めすべての当事者が、極めて困難な選択をしなければならない時期を迎えようとしています。現在私たちが実行している極めて戦術的な措置に注意が集中している中、より大きな目標を忘れないようにしなければなりません。それは、北朝鮮の核兵器と核開発計画をすべて放棄させることです。北朝鮮は、この目標に向けて誠実に取り組む、と述べています。今後の成り行きを見守るしかありません。私たちが 北朝鮮の核兵器および核開発計画の放棄を検証するまでは、最終的な協定を締結することはできません。北朝鮮は、核兵器と核開発計画の放棄を望んでいない、ということも非常にあり得ることです。それはとても現実的な可能性のひとつです。しかし、米国とそのパートナー諸国は、その点を試してみるべきであり、そのためには6者協議の枠組みが最適です。

 ブッシュ政権は、現在の進路の潜在的メリットとリスクを検討してきました。その際に、私たちは、北朝鮮政権の性質についても、過去の履歴についても、その行動についても、一切幻想を抱きませんでした。そして本日、私は、今どのような状況にあるのか、そして今後どの方向に進むのかについて説明し、現行の政策が朝鮮半島の完全かつ検証可能な非核化を実現する最良の選択肢であると私たちが考える理由をお話ししたいと思います。

 まず、重要な点を強調しておきます。それは、外交と話し合いは同義語ではない、ということです。外交とは、他国に対して、彼らの行動が変われば、こちらの行動も変わる、ということを明確に示す、一組の正の誘因と負の誘因を構築することです。これが、私たちが北朝鮮に対して取っている手法であり、さらに言えば、イランに対する手法でもあります。そして、これらの国の政府が、その行動が前向きに変化したことを米国が認識するかどうかを疑うなら、リビアを見ればわかります。このかつての敵国は、テロリズムを否定し大量破壊兵器を放棄する戦略的な選択をし、徐々に国際社会に復帰して、それに伴う経済的な恩恵と安全保障の強化を享受しています。米国には、永遠の敵はありません。

 米国とそのパートナー諸国は、北朝鮮の将来について、極めて明確な選択肢を北朝鮮に提示してきましたが、それを選択することができるのは北朝鮮だけです。誰も北朝鮮に代わって選択することはできません。北朝鮮が引き続き国際法に違反し、地域を不安定にし、国際社会を脅かす場合には、ほかの5カ国は協力して、無責任な行動の代償が増大し続けることを北朝鮮に示すでしょう。その説得力のある実例として、2006年10月に北朝鮮が核実験を行ってから1週間たたないうちに、ほかの5カ国が国連憲章第7章に基づく決議に同意し、これを強く要求しました。これは、朝鮮戦争以来最も広範囲に及ぶ、北朝鮮に対する国際的な制裁措置でした。さらなる対立は、さらなる代償につながります。これは北朝鮮にとってひとつの選択肢ですが、別の選択肢もあります。

 北朝鮮の政権が、別の、より責任ある選択肢を選ぶならば、北朝鮮が国際社会の一員としてより高い評価を受け、安全保障を強化できる道が開かれていることを、ほかの5カ国は明確に示しています。これが、2005年9月19日に6カ国すべてが署名した共同声明に示された構想です。北朝鮮は、その合意で、すべての核兵器と既存の核開発計画を放棄することを誓約しました。そしてほかの当事国は、北朝鮮が自らの義務を履行すれば何を得ることができるかを明示しました。それは、人道・開発援助、原子力以外のエネルギー援助、主権の尊重、国連憲章の原則の順守、そして朝鮮半島の恒久平和などです。その文書を引用すると、「北東アジア地域の永続的な平和と安定のための共同の努力」と述べられています。

 しかし私たちは、非核化を目指す一方で、北朝鮮が自国民の生活を改善するよう圧力をかけ続けます。私たちはこの問題に関して、特にブラウンバック上院議員らが提出した法案を通じて、多くの連邦議会議員の支持を得て、非常に積極的な活動をしてきました。私たちは、北朝鮮国民が悲惨な状態に置かれていることを危惧(きぐ)しています。間もなく、米国のジェイ・レフコウィッツ北朝鮮人権特使が、こうした懸念について北朝鮮の近隣諸国と話し合うために、北東アジア地域を訪問します。私たちは、北朝鮮での抑圧された悲惨な生活を逃れた難民の再定住を支援してきました。人権問題を取り上げてきました。日本人拉致被害者の悲劇的な事件に関して、日本と北朝鮮の間の交渉促進を支援してきました。米国が人権支援で沈黙することは、決してありません。人間の尊厳の要求は、交渉の余地のないものであり、交渉の切り札ではありません。

 繰り返しますが、私たちの目標は、2005年の声明に述べられているように、北朝鮮の核兵器および核開発計画をすべて検証可能な形で放棄させながら、以上のようなことを実行することです。そして、この目標を達成する手始めとして、6カ国は、2007年2月および10月に、共同声明実施のための措置に関する合意文書に署名しました。これらの合意文書は、6カ国すべてが相互の義務を履行するための一連の措置について、ひとつずつ詳しく説明しています。これが、現在私たちが行っている作業です。この作業は始まったばかりであり、まだ終わりではありませんが、すでに重要な成果を上げています。

 北朝鮮は、寧辺の核施設を無能力化しています。これは、以前に行われたような核施設の凍結ではなく、施設の放棄を目的として実際に無能力化しています。そして、今こうしている間にも、米国と国際原子力機関(IAEA)の職員が、寧辺の現場でこの作業を監視しています。ここで明確にしておきますが、寧辺の施設では兵器用核物質が生産されていました。私たちはその能力を後退させたのです。そして、北朝鮮の兵器用核物質の開発能力が日々低下していけば、その分米国の友好国、同盟国、そして米国自身にとって日々安全性が高まることになります。

 また北朝鮮は、その核施設の稼動記録を詳しく記した1万9000ページ近くに及ぶ文書を米国に提出しました。これは、北朝鮮の核開発計画に関する同国の主張の検証を始めるプロセスの重要な第1歩です。北朝鮮が、確約した通り、核開発計画に関する申告を行った場合には、今回提出された文書は、その他の文書の精査、関連施設の現地査察、主な人員への事情聴取と共に、その申告が本当に正確かつ完全なものであるかどうかを検証する私たちの活動を助けることになります。

 では、それと引き換えに私たちはこれまでに何を提供してきたのでしょうか。北朝鮮には多額の経済援助を行っていません。貿易や投資も行っていません。また、北朝鮮は今も概して、国際金融制度から孤立しています。私たちは、北朝鮮に対して安全保障も国交正常化もしていません。そして、最も重要な点として、私たちは、依然として北朝鮮に適用されている何ページにもわたる制裁措置を解除していません。米国連邦議会が可決した多数の2国間制裁措置も、国連安全保障理事会を通じて米国が当事国となっている多国間制裁措置も、どちらも解除していません。

 米国が北朝鮮政権に与えたのは13万4000トンの重油ですが、これは自動車、トラック、戦車、あるいは、いかなる種類の高性能エンジンにも使うことができません。その用途は暖房用燃料に限られています。また米国は、マカオの銀行で凍結されていた北朝鮮の資金2500万ドルについて凍結解除を許可しました。金額は、250億ドルではなく2500万ドルです。マカオの銀行に関する問題が解決されて、資金は北朝鮮に返還されました。しかし、北朝鮮には違法行為の前歴があること、また米国政府が努力したことにより、北朝鮮は現在も、国際金融制度に全面的に参加することが難しい状況にあります。北朝鮮が金融界の信頼と信用を取り戻すための道のりは遠いのです。

 私たちが北朝鮮国民に食糧支援も行ってきたことは事実です。しかし、これは米国の外交とは無関係です。なぜなら、飢えている人たちに食糧を提供することを、政策手段あるいは圧力をかける手段と見なすべきではないからです。私たちが今取り組んでいる政策には、次の段階があります。北朝鮮は、間もなく、非核化作業部会の議長国である中国に、核開発計画の申告書を提出します。続いて、ブッシュ大統領が、北朝鮮をテロ支援国家指定リストから外し、敵国通商法の適用を停止する意志を連邦議会に通告します。その後、これらの措置が発効するまでの45日間に、私たちは、北朝鮮の申告が正確で完全かどうかを検証する作業において、北朝鮮がどれほど協力的か、引き続き評価していきます。そして、協力が不十分な場合には、それ相応の対応をします。それが実際にどういうことなのかを明確にしておきたいと思います。テロ支援国家指定の法的基準は、かなり具体的なものです。すなわち、「当該国家が過去6カ月間に国際テロ組織に財政的・物質的支援を提供したかどうか」が基準となります。

 敵国通商法の適用解除に関しては、解除される可能性のある制約のほとんどは、実際には米国の他の法律や規制によって継続されます。従って、私たちは、現行の政策を検討するに当たっては、核の保有や拡散を目指す国がこれを注視していることも認識しています。そして私は、この政策が正しい警告を発するものであると考えています。この政策は、不法に核兵器を製造した上に国際社会の支持を得られると考えるような国家に対しては、主要国と連携して、ますます大きな代償を求める、という米国の意志を示すものです。さらに、国家がより良い決断を下す動機となるような、実質的な見返りを提供することにも米国が同様に熱心に努力をすること、そしてそのような決断を下した国家に対しては、合意した米国側の義務を履行し、約束した見返りを提供する、ということも示しています。

 しかし、この政策はまた、国際社会に対して負った義務を考慮しない行動が、別の経過をたどることもあり得ることを示しています。従って私たちは、現行の政策を検討するに当たって、最終的に北朝鮮が合意に違反した場合にはどうするのか、ということを自問しています。北朝鮮がこちらを欺いた場合はどうするのか。これは正当な懸念であり、北朝鮮の過去の行動を考えれば、必要な懸念でもあります。

 そして、その答えは簡単です。私たちは北朝鮮に責任を求めます。解除した制裁措置のうち適用できるものはすべて復活させ、新たな制裁措置も追加します。また、北朝鮮は、米国だけでなく、日本、韓国、ロシア、および中国との合意にも違反することになるため、これらの国も相応の措置を取ります。これらの国には、米国が誠意を持って対処したこと、米国が北朝鮮により良い未来につながる道を提供するために、あらゆる誠実な努力をしたこと、そして合意が頓挫したことで非難されるべきは北朝鮮だけであることがわかるでしょう。これは、米国がパートナー諸国を結集させ、北朝鮮政権に圧力をかける上で役に立ちます。

 北朝鮮との合意を検証することは極めて困難な課題となります。北朝鮮政権は、世界で最も秘密主義で不透明な政権です。その結果として、私たちが得た情報は、完ぺきとか、完全というには程遠いものです。従って、私たちは、北朝鮮の核計画および活動について何を知っているのか、何を知らないのかを極めて明確にする必要があるとともに、同じくらい重要なこととして、さらに何を知らなければならないのかを認識することも必要です。例えば、私たちは、北朝鮮が長年にわたりプルトニウム計画を実施してきたことを知っています。北朝鮮が数個の核兵器を製造するのに十分な核分裂性物質を生産していること、そしてそのうち1個についてはすでに核実験が行われたことを知っています。また、北朝鮮がシリアに核技術を拡散させたことを知っています。しかし私たちは、北朝鮮の核拡散活動の全容を知りません。また、北朝鮮がウラン濃縮計画を実施していることは知っていますが、その全容、あるいはその活動の正確な成果は知りません。

 このプロセスに深く入り込むにつれて、私たちは北朝鮮のウラン濃縮能力に関する新しい情報に不安を感じるようになりました。こうした情報によって、北朝鮮との交渉に関する疑念を再確認することになりました。そうは言うものの、私たちは、現行の政策を通じて北朝鮮の核開発計画に関する知識を増やしていることも認識しています。このことから、私たちが、北朝鮮の継続する現在の活動についてさらに多くの情報を得る可能性が最も高いことを、改めて確信しています。

 北朝鮮に関するいかなる情報にも元来限界があること、そして北朝鮮の過去の行動を考慮すると、北朝鮮がその約束を果たすと私たちが単純に信用することはありません。むしろ、私たちは検証を強く要求しています。北朝鮮が、そのすべての核計画を放棄するという誓約を守っていること、またあらゆる核拡散活動を停止し、IAEA保障措置の下で核拡散防止条約に復帰するという最近の誓約を守っていることを検証するよう強く要求します。私たちの検証活動の目的は、北朝鮮による不正行為を防ぎ、不正行為をできる限り困難にし、私たちが違反を発見する能力を強化し、違反を発見した場合には迅速に対応できるようにすることです。この検証活動の指針となる原則がいくつかあります。

 検証は、米国、日本、中国、韓国、ロシア、およびIAEAの適切な要員が検証活動を行うように、6カ国を代表して実施される共同作業でなければなりません。検証に際しては、とりわけ、北朝鮮における核施設の現地査察を義務付けるべきです。検証に際しては、北朝鮮のすべての核施設および現場において、環境および物質のサンプルの収集と除去のほか、物質や設備の法医学的分析を義務付けるべきです。検証に際しては、北朝鮮におけるすべての核物質の生産および処理に関連するあらゆる施設の設計文書、稼動・生産記録、報告書、日誌、およびその他の記録の精査を義務付けるべきです。さらに、検証に際しては、核開発計画に関与した北朝鮮国民への事情聴取を義務付けるべきです。検証は、容易ではありませんが、不可欠な作業です。6カ国は、これらの原則を組み込んだ詳細な検証・実施計画を策定中です。

 それでは、皆さん、私たちにとってどのようなメリットがあり、どのようなリスクに耐えなければならないのかを考慮し、また私たちが北朝鮮について知っていること、知らないことを考慮した上で、私たちの現行の政策をどのように評価すべきでしょうか。慎重に進めていくことは正しいことでしょうか。私の考えでは、イエスです。米国の政策は、私たちの求めるものをすべて実現してくれるでしょうか。答えはノーです。どのような政策であってもそれは無理です。しかし、最終的な判断では、これが最良の選択でしょうか。その答えはイエスです。

 米国による2国間の関与だけで、北朝鮮に対して核兵器と核開発計画を放棄するよう説得できると考えれば、米国はそうするでしょう。米国が圧力をかけさえすれば、北朝鮮の脅威を許容範囲のコストで除去できると考えれば、米国はそうするでしょう。しかし、私たちは、米国の国家安全保障の目標を達成する最善の方法は、現行の政策であると考えています。それは、北朝鮮政権の核拡散活動を抑止し、防止し、そして阻止し、その核兵器開発計画を廃棄させる積極的な活動に、北朝鮮の近隣諸国すべてを参加させる政策です。これらの当事国は、北朝鮮が約束に違反した場合には、協力して北朝鮮にその責任を取らせることができます。

 北朝鮮の核兵器開発計画は、何十年もかけてつくられました。それは、地域にとって、また世界にとって脅威となるものです。そして、北朝鮮の核兵器開発能力を解体し、核兵器に関連する活動から手を引かせるには、しばらく時間がかかります。しかし私たちは、日本、韓国、中国、およびロシアと協力すれば、これを実現する可能性が高まります。

 私たちが協力すれば、北朝鮮に核兵器と核物質を放棄させる可能性が最も高まります。協力すれば、北朝鮮が私たちとの合意に違反していないことを検証する可能性が最も高まります。協力すれば、北朝鮮に、無責任な行動の責任を取らせる可能性が最も高まります。そして、協力すれば、古い対立の構図を新しい協力の構図に置き換えた地域安全保障の仕組みを、北東アジアで構築する可能性が最も高まります。

 どうもありがとうございました。

司会者 ライス長官ありがとうございました。皆さん、長官がいくつか質問に答えてくださるそうです。

問 長官のお話の大半は、明らかに北東アジアに関するものでしたが、南アジアについても触れられましたので、よろしければ、その点について少しお伺いしたいと思います。アフガニスタンにおける米国の軍事目的と、パキスタンの民主主義政府の国内公約には、少しでも整合性があるでしょうか。その点について、米国とパキスタン政府との取り決めをどう見ていますか。

ライス長官 はい。ありがとうございます。まず最初に、私たちはパキスタンにおける民主的選挙の強力に支持していました。そして、今の新しい文民政権と協力しています。これはパキスタンにとって一歩前進です。私たちはパキスタン政府に、連邦直轄部族地域の北西辺境州で活動する過激派は、パキスタンだけでなく、米国や地球上のすべての人々にとって脅威であること、また、私たちは、過激派の活動を確実に封じるという共通の目標と目的を持つことを明確に示してきました。結局のところ、ベナジル・ブット氏を殺害したのは、そのような過激派の一部勢力です。従って、その点で私たちには共通の目標があります。

 さて、この事態に対処するのは、明らかに主権国家であるパキスタンの権利ですが、その地域にいかに対処しようとも、その際に、テロリストをかくまうことはできないこと、そしてテロリストの活動が何の処罰も受けないことはありえないと非常に明確に示しているのだろうかと懸念していることを、私たちははっきりと表明してきました。それは、結局、その問題は後になって、真っ先にパキスタンを悩ませることになるからです。私たちを悩ませることにもなりますが、真っ先に悩ませられるのはパキスタンです。

 私たちはパキスタン政府と共に、この地域のための建設的な行動計画を策定しようとしています。その際に、この地域が長年にわたり統治されていなかったことを忘れてはなりません。従って、建設的な行動計画というのは、この極貧の地域で援助プロジェクトを実施することや、人々により良い選択肢を与える措置を講じることです。結局、この最も過酷な地域の一部で投票が許されたとき、人々は過激派の党に投票しませんでした。従って、この地域で何かできそうですが、そのためには反乱軍への対応と同じように、悪の勢力を確実に破壊する意志を持ち、国民に新たな機会や、より良い生活を送る機会を与えることに意欲的でなければなりません。

 これが、米国とパキスタン政府の間における対話の内容です。落ち着こうとしているパキスタン政府にとって、今は難しい時期ですが、私たちは彼らを支援し、パキスタン国民がより良い生活を送ることができるよう支援する用意があります。また、パキスタン政府を支援して、パキスタンや私たちにとっての脅威であるテロリストが拠点とするこの地域に対処する手段を見つけられるようにする用意があります。

 ライス長官、ありがとうございます。北朝鮮と他の5カ国との間で、完全かつ正確な申告にはどのようなものが含まれるのか、について合意はありますか。例えば、核兵器の数、ウラン濃縮プログラム(UEP)の拡散といったことです。2つ目の質問は、第3段階の措置の内容について合意していますか。それには核兵器の廃棄が含まれていますか。北朝鮮から帰国した米国政府の元高官の最近の発言を見ると、第3段階の措置について、北朝鮮の理解が異なっている可能性があるのではないかと思われます。

ライス長官 ありがとうございます。まず第3段階の措置についてお話ししましょう。北朝鮮は、自らが、核兵器と核計画を全面的に放棄することを最終目標とする合意に署名したことを理解しています。部分的な放棄や過去の記録を私たちに示すことではなく、放棄であり、核兵器の廃棄です。これは極めて明確なことです。

 北朝鮮はそれを実施するつもりが全くないということを、読んだり聞いたりします。もし彼らにその意思がなければ第3段階は進展しません。この措置が段階的なのはそのためです。

 6カ国は、第3段階の措置の進め方や、北朝鮮が検証可能な核計画の放棄を開始し、完了する準備ができた場合に他の5カ国が北朝鮮に対して負う義務について、話し合いを始めたところです。しかし、これらについては近いうちに話し合われるでしょう。

 申告と無能力化で完了する第2段階の措置に関しては、申告は北朝鮮の核計画と核施設に関するものでなければならず、かつその申告が完全かつ正確かどうかを検証する手段を提供しなければならないという点で、6カ国は合意しています。もちろん、申告書に北朝鮮が所有するものすべてが示されているという北朝鮮の言葉をそのまま信じるわけではありません。彼らの言うことが正しいかどうかは、私たちの知識に基いて私たちが決断を下します。しかし、私たちは現地に行って検証しなければなりません。具体的な例を挙げましょう。

 北朝鮮が実際に生産したプルトニウムの量を検証するためには、記録がなければなりません。その記録の多くはすでに北朝鮮が提供していますが、原子炉や使用済み核燃料プールへの立ち入りも必要です。北朝鮮は、その立ち入りも認めると言っています。私たちが行ってきたことは、ある意味で、検証や原子炉への立ち入りなど、第3段階で扱うことになっていた課題を前倒しして第2段階で対処したと言えます。その理由は、申告書が提出されれば、申告内容の検証が可能であること、そして、ある時点で何かおかしな点が見つかれば、相応の措置を講じるという理解に基き、一定の期間にわたって検証することが重要になると分かっているからです。

 核兵器そのものに関しては、私たちは第3段階の問題だと考えています。しかし、実際に生産されたプルトニウムの量が明らかになれば、その行方についてより明確に把握できると私は考えています。

 こちら側におられる方々からの質問をお受けしたいと思います。差し支えなければ、報道関係者の方々よりもヘリテージ財団の方々を優先したいのですが、構いませんか。よろしいですね。

 どうもありがとうございます。長官が北朝鮮問題に重点的に取り組んでいることを支持します。長官が言われるように、ブッシュ政権は大きな成果を上げたと思います。しかし、イラクとアフガニスタン地域での活動に、中国やロシア、そしてこの地域を関与させるために、長官が同じように働きかけるには遅すぎますか。

ライス長官 すみません、何についてですか。

 イラクとアフガニスタンの復興に関してです。(聞き取り不能)今、中国はイラクに進出し、イラクが(聞き取り不能)のを助けようとしているというニュースを昨日読みました。しかし、サウジアラビアはまだイラクに進出していません。ですから私は、このような経済復興に同様のモデルを使っていると思いますが、ロシアと中国に加えて、どれだけの国が(聞き取り不能)可能ですか。

ライス長官 ありがとうございます。確かに私たちには、イラクとアフガニスタンの復興への国際支援に関して優れたモデルがあります。ただ、両国の状況は若干異なっています。イラクが国内にかなり多くの資源を有することは明らかです。イラクの今年度予算は500億ドルに近いものとなるでしょう。これは、オマーン、クウェート、ヨルダンの国家予算の合計額に匹敵します。従って、イラクは、自国にかなりの資源を保有しており、技術支援、能力向上、そして債務救済といった形での支援をより必要としています。イラク国際協定というものがあり、これまでに何度も会合が行われています。この協定は、イラクが遂行しなければならない義務と、国際社会が遂行しなければならない義務を定めています。しかし、この協定は対外援助というよりも、むしろ能力向上、債務救済、政治的支援などに関するものです。この協定には非常に多くの国々が参加しています。ちなみに、中国とロシアもこの協定に参加しています。

 アフガニスタンの場合は極貧国で、何十年も内戦や紛争で苦しんできた国です。乳児死亡率が世界で最も高い国のひとつです。実を言うと、サハラ以南アフリカ以外で最も貧しい国のひとつです。従って、一定の海外援助を持続的に必要とする国です。私は、パリで行われたアフガニスタン支援のための重要な援助国会議から帰ってきたばかりですが、会議ではアフガニスタンが、道路と電気に重点を置いた5カ年復興開発計画を発表しました。国際社会は、この取り組みを支援するために資金を援助する予定です。そして、ロシアと中国はこの活動にも参加しています。

 このように、若干の違いはありますが、機能するモデルがあると思います。アジアの問題に関して指摘したいことは、日本が、特にアフガニスタンに対して、極めて寛大な支援を行っていることです。しかし、韓国と日本のどちらも、イラクやアフガニスタンの地域復興にかかわっています。ですから私は、私たちは将来に向けて、かなり優れたモデルを有していると思います。しかしこれから、各国はそれぞれの義務を果たさなければなりません。

 援助国会議で最も難しいことのひとつは、会議では誰もが誓約をするのですが、しばらくするとその誓約が忘れ去られてしまうことです。ですからこれらの会議を開催し続けるのは、各国にそれぞれの誓約を思い出させるためなのです。

 中国では石炭発電が使われており、それに伴う温暖化ガスの排出量が、米国で自家用車やトラックから排出される温暖化ガスの総量に匹敵、あるいはそれ以上であると多くの専門家が考えています。中国は、石炭発電の使用をやめたいという意思を示していますが、彼らにはそのための資金も技術もありません。もし米国が中国に提案したら、石炭発電をやめるために合弁事業に応じ、実際にその技術をインドネシア、インド、ロシアなどに提供する可能性はあるでしょうか。実は、米国でも2カ所で石炭発電が行われています。中国はそのような提案にどのように応じるでしょうか。

ライス長官 その特定の提案についてコメントすることはできませんが、クリーンな技術や、温暖化ガスの排出、二酸化炭素の排出、そして気候変動の問題での協力という考え方に対する中国の対応についてお話しすることはできます。米国、つまりブッシュ大統領が京都議定書を拒否した理由のひとつは、米国やヨーロッパ諸国が排出量について何をしようとも、中国とインドが参加しなければ、事態の進展はないからでした。京都議定書の枠組みは実効性がありませんでした。私たちは、今、中国やインドといった国々も参加できる枠組みづくりを目指して努力しています。しかし、率直に言って、画一的な手法は取らないでしょう。なぜならば、中国やインドに、温暖化ガス排出問題に対処するために成長をやめるように言っても、彼らは従わないからです。

 例えば、私たちが協力して石炭発電に対処する技術を利用したり、中国が急ピッチで進めている火力発電所の建設に対処するためにクリーンコール技術などの技術を利用できることを伝えれば、中国やインドを体制に取り込むことができるでしょう。そこで、ブッシュ大統領は、主要経済国が目標を設定して、温暖化ガスの排出量を一定期間にわたって削減するという計画を提案しました。この主要経済国には中国とインドも含まれ、ヨーロッパや米国と協力します。大統領は日本で開催されるG8でも、この提案を推すつもりです。

 この件については、一歩先んじたスタートを切りました。それは、中国、インド、米国、オーストラリア、韓国が参加する、クリーンなエネルギーに関するアジア太平洋パートナーシップを発足させたからです。これは、先ほどあなたが言われたような、非常に具体的な問題を扱うために官民パートナーシップを構築することを目指すものです。そして、これらの問題に関しては、中国は非常に協力的です。しかし、自国の経済成長を犠牲にしてまでというわけではありませんし、中国の経済成長を抑制する画一的な手法を取る場合には、絶対に応じないでしょう。ですから、ブッシュ大統領がこれまで取ってきており、今や世界で広く受け入れられていると思われる手法を使えば、この問題に対する合理的な取り組みを可能にする枠組みに、中国やその他の国々を取り込むことができるでしょう。

 長官に質問があります。核攻撃を受ける危険性はどれくらいでしょうか。それだけです。米国は核攻撃への準備ができていますか。

ライス長官 核問題には言及しないようにしましょう。でも、一般論として、私たちは9月11日と比べれば安全ですが、まだ安全とは言えません。

 私たちのテロとの戦い方は正しかったのか、ブッシュ政権はテロとの戦いに熱中しすぎていないかなどと議論する人がたくさんいることは知っています。しかし、ひとこと言わせてください。9月11日に責任ある立場にあった者にとって、その日以来、毎日が9月12日でした。そして、9月11日に責任ある立場にあった者は、その日以来、「大変だ。再発を防ぐにはどうすれば良いだろう」と毎日心の中で考えてきました。

 従って、ブッシュ大統領は、米国法の範囲内で、また条約上の義務の範囲内であらゆることを行い、米国民の安全を守るために、朝起きてから夜寝るまで、できる限りのことを行う覚悟ができていました。分かりますか皆さん、これは不公平な戦いなのです。なぜなら、私たちは常に正しくなければなりませんが、テロリストは1度でも正しければ良いのです。ですから難しいのです。

 そして、9月11日の記憶が薄れるにつれ、より安全になったように感じるのは分かっています。しかし、より安全な状態を維持するには特別の警戒体勢が必要であり、特別な防衛策が必要です。さらに、テロリストの本拠地で彼らに対峙(たいじ)する必要もあります。私たちが、テロを根絶するために中東などの地域で根本原因と取り組み、パキスタン、サウジアラビア、その他の同盟諸国と協力しているのはそのためです。これは大変な戦いです。

 核問題に関しては、テロと大量破壊兵器が結びつく以上の悪夢はほかにはありません。それが、私たちが核の不拡散に懸命に取り組んできたひとつの理由だと思います。そして、成果も上げています。リビアは検証可能な形で核に関する活動を停止しています。私たちが継続して情報を集めているA・Q・カーンのネットワークは、少なくとも活動停止状態にあります。私は、北朝鮮が生産した拡散の恐れがある物質への対処は可能であり、その拡散防止のために北朝鮮以外の5カ国が監視することが可能だと考えています。核の拡散問題は最優先課題です。私たちは拡散安全保障イニシアチブを実施しており、不審な貨物に対応するために80カ国程度の国々が共に情報を利用しています。

 現政権は、何度にもわたって核拡散問題への対応を強化してきました。そうするのは、それが重要だからですが、テロが大量破壊兵器と結びつくことが誰にとっても最も忌まわしい悪夢だからでもあります。

 長官、ありがとうございます。安全保障という話題の中で、まだ触れられていませんが、私は長官にフィリピンを再訪していただきたいと思っています。フィリピンに関して言えば、もちろん米国はフィリピン軍の近代化を支援し続けています。そこで、長官にお伺いしたいのですが、ブッシュ政権が終わった後に、安全保障の問題や長官が関心を抱かれるその他の懸案事項について、米国とフィリピンの関係がどう進展すると思われますか。

ライス長官 ありがとうございます。私は今年の夏にフィリピンを訪問する予定です。フィリピンは非常に緊密な関係にある、素晴らしい同盟国です。私たちの間には、強力な安全保障関係があります。あなたのおっしゃる通りです。私たちは、安全保障の面だけでなく、フィリピンの近代化と繁栄にも貢献するよう努力してきました。

 私たちが大きな進展を遂げたと思う事例をひとつ皆さんに示しましょう。ブッシュ政権が発足したとき、ミンダナオは逃亡中のテロリストの避難場所と考えられていました。アブ・サヤフのグループがさまざまな問題を引き起こしており、実際には、フィリピンの中心地域を攻撃すると脅してさえいました。対テロ戦術、フィリピン軍の訓練、協調的な環境での共同活動、情報と活発な軍事訓練の利用、そしてミンダナオの人々のために強固な意思と心を持って行う努力を最善の形で組み合わせた、極めて積極的な反乱鎮圧戦略により、ミンダナオの状況は本質的に改善しました。そして、アブ・サヤフのグループは深刻な打撃を受けました。これは、皆さんができることの一例だと思います。なぜならば、東南アジアにおけるテロの脅威を考えた場合、ブッシュ大統領の就任当時、テロの脅威は確実に高まりつつあると考えられていたからです。その脅威は今も存在しています。私たちにはフィリピンやその他の国々と協力してやるべき仕事がまだあります。しかし、世界のこの地域ではテロ対策がかなり進展したと考えています。フィリピンは米国にとって最強の同盟国のひとつであり、北太平洋条約機構(NATO)に加盟していない同盟国です。非NATO加盟の主要同盟国として米国と特別な関係にあります。米国はフィリピンとの協力を懸命に続けていきます。

 ありがとうございます、長官。これまで朝鮮半島の核の問題についてお話いただきましたが、私は牛肉問題についてお話を伺いたいと思います。

ライス長官 あら。

 ブッシュ政権時代に、北東アジア諸国の間の関係が発展し改善したとおっしゃいました。もちろん、韓国政府と米国政府の関係は、前回の選挙で李明博大統領が新たな韓国政府の指導者として選出されて以来、活発になり、発展し、改善されています。

 残念ながら、この牛肉問題のために、韓国国民は米国政府から多少距離を置きつつあるように思います。長官、米国政府の代表者として、何か対策、何と言うのか、この状況を改善するための対策を何かお持ちでしょうか。

ライス長官 はい。分かりました。

 韓国の新政権と米国政府の関係についてです。

ライス長官 私たちは、韓国の新政権と極めて良好な関係を築いていると思います。これだけは言わせて下さい、米国の牛肉は安全です。まず最初にそれを言わなければなりません。

 私たちは韓国政府と協力しています。私たちは、韓国が民主主義国であると理解しています。韓国が強固な民主主義国であり、国民が確固たる見解を持っているということは、まさに、過去数十年の大きな成果のひとつです。そして、それが事実であり、その国が民主的に選出された政府を持ち、米国の同盟国であるならば、私たちは彼らと協力する必要があります。同僚であるスーザン・シュワブ米国通商代表をはじめ、さまざまな人々が、この問題を前進させる方法について絶えず話し合いを行っています。私たちは、この問題を前進させたいと考えています。私たちは自由貿易協定を進展させたいと思っています。しかし、それが難しいと認識しています。米国の牛肉が安全なことを理解してもらえることを望んでいますが、正確に次にどのような措置を取ることができるかについては、この問題に関する韓国政府の見解を尊重します。私たちはほぼ毎日のようにこの件に取り組んでいます。

 ブッシュ大統領が最近訪英しましたが、その間に、アフガニスタン南部に追加部隊を投入するという発表があり、両国の特別な関係を示す具体的な証拠だと思いました。アフガニスタンでの任務に真剣に取り組もうとする意欲が、ヨーロッパのほかの多くのNATO同盟国に欠けていることに対し、私たちヘリテージ財団の関係者は不満を感じていますが、長官も私たちと同じような不満を感じておられるでしょうか。

ライス長官 はい、ありがとうございます。まず、NATOについて良い話をしましょう。私は、経験を積んだソビエト専門家の1人です。ソ連が崩壊すると、私は、ロシア学者や国際政治の専門家と共に、長年にわたりNATOに関する多くの研究に従事しました。そして私たちは、ヨーロッパでないすべての地域を意味する、「域外」と呼ばれるものについてよく議論しました。NATOが実際にアフガニスタンでの任務を引き受ける、それも、アフガニスタンでの平和維持の役割だけでなく、特に南部でかなり厳しい軍事的な戦闘を引き受けるという考えは、NATOにとって驚くべきことでした。NATO加盟国の意思決定はすべて全会一致で行われるため、これは加盟国の全会一致によって決まったことです。

 そして、ブカレストで、自由で繁栄する民主主義国アフガニスタン、安全なアフガニスタンという目標を必ず達成するというNATOの決意を再確認しました。そして、英国、フランス、その他の国々が、さらに多くのことを約束しています。

 そうです。確かに、NATOの同盟国がもっと多くのことに、もっと積極的に関与することができればと思います。多くのことを成し遂げた国もあれば、非常に激しい戦闘に従事している国もあります。そして、NATOが注意すべきことのひとつは、NATO全体の足並みがそろっていなければならないということです。そして、NATOの中で実質的な負担の分かち合いが行われなければなりません。

 しかし、これはおそらくヨーロッパが冷戦終結時に「平和の配当」を享受しすぎた結果であると認識しています。戦いに赴くことができない軍隊があります。規模を縮小した軍隊があります。防衛予算を急激に削減した軍隊があります。米国も平和の配当を享受しましたが、ヨーロッパの大部分では、平和の配当は極めて大きなものになりました。

 そして、ブッシュ大統領は…現政権、そしてブッシュ大統領が最も誇るべきことのひとつは、2001年以降、NATOが真の変革を遂げたことだと思います。私の記憶では、2001年にはミサイル防衛をめぐり辛らつな議論が交わされていました。ブカレスト・サミットで、NATOは、ミサイル防衛の必要性、そしてNATOとしてミサイル防衛に協力する必要性を確認し、ロシアに対しては実質的にこう言いました。「米国との協力を受け入れなさい。それは貴国の利益になるでしょう」

 NATOは現在、イラク人将校に訓練を行っています。スーダンでの計画立案を支援してます。アフガニスタンで戦っています。しかし、次のような部分は目に見えません。NATOは、緊急対応部隊や、防衛予算を安定した水準に維持する取り組みなど、軍事力の再構築を図っています。NATOはこれらのことに取り組んでおり、将来このような任務を遂行する上で優位な立場に立つことになると思います。

 それは容易なことではありません。なぜならば、アフガニスタンでの任務は平和維持活動ではありませんし、実際には戦争でもありません。アフガニスタンでの任務はその中間のようなものです。反乱鎮圧活動は連続性を伴うものです。平和状態でなければ戦争です。多くの場合、村落に行って悪者を一掃し、その地域を警察と共に管理し、経済的な発展をもたらします。これらすべてを、非常に短期間のうちに行います。従って、私たちはその方法を学ばなければなりませんでした。NATOは今、その方法を学ぼうとしています。

 ですから、私は確かに、NATOがより大きな貢献をしてくれることを期待していますが、NATOはそれを約束していると思います。

 ほかに2つだけ申し上げたいことがあります。ひとつは、もしNATO加盟国に何かひとつだけしてもらえるなら、もちろん、増軍などさまざまなことがありますが、自国民にアフガニスタンについて正直に話してもらいたいと思います。アフガニスタン国民の心を癒やしたいという言葉をよく耳にします。しかし、まず第一に、彼らの身体的な安全を確保しなければなりません。これが、イラクでの増派から実際に学んだことのひとつです。より安全であれば、人々はより良い選択を行います。

 ですから、アフガニスタンでの任務が単なる平和維持活動ではないという事実を、国民に話す必要があります。これは和平に向けての仲介任務です。残念ながら損害も出るでしょうし、それはつらいことです。私は、NATOに加盟する米国の友好国が、それぞれの国民ともっと対話してくれることを望みます。彼らが、アフガニスタンでの任務を十分に理解していないことがあるように思われるからです。

 しかし、ここでは、NATOの肯定的な面をお話しして、話を締めくくりたいと思います。ご承知のように、冷戦終結時、私はホワイトハウスのソビエト専門家でした。東ヨーロッパが解放され、ドイツが統一され、ソビエト連邦の平和的な崩壊が始まった1989年、90年、91年にホワイトハウスに勤務していたことは、最高の経験でした。しかし、その当時、もし誰かが私に、2006年にブッシュ大統領がラトビアで開催されるNATOサミットに出席するだろうと言ったなら、私は、そんなことを言うなんて正気ではない、と言ったことでしょう。それをほかの人に言ったとしても、皆、正気ではないと思ったでしょう。

 このことは、まさに、何が起こり得るかを示しています。そして、NATOの26カ国の加盟国と近々参加が承認される2カ国を合わせた28カ国のうち12カ国は、以前、選択の自由が認められていなかった国です。そして、皆さんに聞いていただきたいことがあります。こうした国々は、NATOのあり方を根本的に変化させました。なぜならば、彼らは圧制下に近い生活をしてきたために、自由を心から尊重しており、NATOの自由に対する取り組みを再活性化し、領土だけでなく、私たちが共有する価値観の防衛のために民主主義国家を団結させるというNATOの本来の目的に新たに活力を与えたからです。エストニアやラトビア、あるいはポーランドやチェコやブルガリアの代表の隣に座り、これらの国々が、過去ではなく、現在そして未来のNATOを高く評価していることを認識できるのは、NATOの会合をおいてほかにはありません。そして、何よりもこのことが、米国とヨーロッパの未来について私に大きな希望を抱かせてくれます。

 どうもありがとうございました。お招きいただき、ありがとうございました。