
*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。
2008年2月9日、東京
本日、東京で行われた先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)に出席できたことを大変うれしく思っています。今回の会合は、主に最近の金融市場の混乱のあおりを受けて、G7が経済成長の世界的な減速と下方リスクに直面しているさなかに開催されました。本日の会議では、こうした下方リスクに対応する政策措置のほか、リスクとストレスに強い、より堅実な枠組みをつくる効果的な政策および規制措置を策定する必要性について話し合う機会を持つことができました。
私は米国経済が長期的には健全であると確信しており、また2008年も経済成長は続くと期待しています。住宅市場の調整、エネルギー価格高騰、それに資本市場の混乱が重なって短期的成長を圧迫しています。事実、成長は2007年末に著しく減速しました。短期的下方リスクを考慮すると、行動する必要があることは明らかでした。ブッシュ大統領は、米国の景気に決定的な影響を及ぼす包括的経済対策の実施を呼びかけました。そして私がワシントンを発つ少し前に、大統領の唱える効果的な包括的経済対策の方針に沿った法案が連邦議会で可決されました。今年は、この包括的経済対策が、大いに切望されている景気刺激になると思います。超党派の精神でこの包括的経済対策に取り組み、政府が団結して米国民の最大の利益を実現できると実証したことは、誠に喜ばしいことです。
私たちは、民間部門との協調のほか、連邦議会との協力を通じて、回避できる抵当流れを避ける努力を続けて、住宅市場に直接働きかけています。
先ごろのドーハ・ラウンドでの進展が、ただちに関税やその他の貿易障壁の実質的な引き下げにつながれば、長期的な世界経済の見通しもかなり改善されることでしょう。すべての関係者、とりわけ金融サービスやその他のサービス部門の関係者は、この機会をとらえ、経済的利益を確保して保護主義的圧力と戦うために一層努力するようお願いします。
私たちは、石油価格の上昇が各国の経済に与える影響について話し合いました。石油輸出国機構(OPEC)、その他の産油国に石油の増産を働きかけ、石油精製能力の増加とエネルギー効率の向上の必要性を強調しました。
今日の金融不安は深刻で根強いものです。金融市場が好転しているとはいえ、現在の金融不安を克服するには時間がかかるでしょう。金融市場は、もちろん現在のストレスから回復するでしょうが、リスクの再評価が行われる間は、不安定な状態が続くと考えるべきです。
市場関係者はさまざまな心強い措置を取って金融不安に取り組みました。8月以降金融機関が公表し償却した資産の額は1500億ドルを超え、また米国の金融機関は950億ドルを超える増資を実施しました。過去の金融不安の事例を振り返れば、損失の認識と資本の回復が金融正常化に向けて取るべき最も重要な措置のうちの2つであることが分かります。
昨年10月に開かれた前回のG7会合で、財務相および中央銀行総裁は、金融市場の混乱の根底にある原因を分析し、リスク管理、仕組み商品の会計処理や評価、仕組み金融(ストラクチャード・ファイナンス)に対する信用格付けの役割と利用、規制を受けている金融機関に対する注意深い監視などの分野で提言をするよう、金融安定化フォーラム(FSF)に要請しました。本日、マリオ・ドラギFSF議長が、その中間報告として、監督体制と監視、証券化によるリスク移転を前提とした融資 (originate-to-distribute) モデルの基盤、格付け機関の利用と役割、市場の透明性、リスクに対する監督および規制面での対応、当局の危機対応能力について概要を説明してくれました。私は個人的にマリオ・ドラギ議長の素晴らしい報告に感謝し、また優れた指導的手腕を称賛したいと思います。
FSF報告は、金融不安の原因と、この不安が世界の金融システム全体に広がることを許した制度上の弱点を主に取り上げています。私たちが関心を払うべき金融市場の慣行や、監督および規制政策を多数取り上げています。中間報告で取り上げられた分野は、大統領の金融市場作業グループ(PWG)で議論されているものとほぼ同じであったため、私は各国代表にその作業の概略を説明することができました。
今般の市場の混乱は、その教訓のひとつとして、市場のストレス時や、同じ問題が再発する可能性を低く抑える適切な対応策を策定するときには、頻繁な情報交換と緊密な連携の必要があり、その必要性が高まっていることを教えてくれています。
金融当局は、断固として、また先取的に、市場不安に対処しなければなりません。事実、FSFやPWGでの作業はそれを象徴するものであり、米国が自国経済を支え、抵当流れを回避し、消費者保護を強化するために行っている対策もまた同様です。しかし提起された問題は複雑で、時が経過しても変わらない真の答えを必要としています。私は、4月に提出されるFSFの報告を心待ちにしています。そして私は、明らかになってきた多くの問題に迅速に取り組む上で、世界基準設定機関が果たす役割の重要性を強調しました。
私たちは、各国が外資に対する市場開放政策を維持する必要性についても話し合いました。私は、米国の開放的な投資政策に繰り返し触れ、開放的な投資政策を維持するというこの公約が、対米外国投資委員会を通じて国家安全保障を守るという米国の手法の指針になっていることを説明しました。G7の一員である国を含め、投資の見直し作業を行っているすべての国は、広い意味での経済的利益や国益ではなく、純粋に国家安全保障の問題に重点を置くべきであることを、私は強調しました。
近年、政府系ファンド(SWF)が大きな注目を集めています。SWFに関する政策上の問題については、国際金融システムに台頭してきた保護主義的な感情に用心しながら、筋の通った慎重な方法を用いて、多国間で取り組むことが重要です。私たちは、SWFのベストプラクティス(最良慣行)を特定しようとする国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事の努力を強く支持しました。
私たちは、経済協力開発機構(OECD)における、SWFなどの政府が管理する投資の受け入れ国の対内投資体制のベストプラクティスを決める作業を継続することを決意しています。
IMFの改革についても有益な話し合いを行いました。私は、為替レートを監視するIMFの新しい枠組みを確実に実施する必要があること、そして活発な新興市場の重要性の高まりを反映するようにIMFの統治構造を抜本的に改革する必要があることを強調しました。IMFの中期的資金調達計画については、ストロスカーン専務理事が推進している線に沿って、新たな収入源の検討と並行して大幅な支出の統合を行わなければならないことを力説しました。
英国および日本の代表とともに、国際クリーンエネルギー技術基金創設に向け専心していくことを明確に示すことができました。ブッシュ大統領は、一般教書演説の中で今後3年間で基金に対し20億ドルを拠出することを明らかにしました。この基金は、従来技術とより高価なクリーンエネルギー技術の間の費用の差額分を補助して、開発途上国のクリーンエネルギー・プロジェクトへの資金提供を支援します。この基金では、2国間での援助国、多国間の開発機関、そして民間資源を活用する計画です。
クリーンエネルギー技術基金を確実に成功させるために、ほかの国々と協力していくことを楽しみにしています。
私たちは、経済発展を促進し、世界の金融システムの健全性を保護するために、資金洗浄、そしてテロリストや核拡散のための資金調達に敢然と立ち向かう決意をしていることを再確認しました。特にイランから不法な資金が流出するリスクがあることを引き続き憂慮しています。私たちは、国際金融システムをこのようなリスクから守る金融活動作業部会(FATF)の公的活動を強く支持し、FATFがこのような措置を継続することで合意しました。また、FATFがその専門知識を使って、国連安全保障理事会の大量破壊兵器拡散防止決議に基づき財政上の義務を遂行している国々に指導を行うことを継続すべきである、という点についても合意しました。私たちは世界的な資金洗浄やテロリストへの資金援助と戦うために、IMFと世界銀行がFATFとの協力を継続することを強く支援しています。


駐日米国大使