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*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

ジョン・D・ネグロポンテ国務副長官のジャパン・ソサエティーにおける講演

2008年1月31日、ニューヨーク

 ご紹介ありがとうございます。ジャパン・ソサエティーのウッド理事長、本日はお招きいただきありがとうございました。櫻井総領事、お越しいただき大変うれしく思います。

 ご出席の皆様、まず始めにジャパン・ソサエティーが100年以上にわたり素晴らしい業績を挙げてこられたことをたたえさせていただきたいと思います。日本と米国は独自のきずなで結ばれており、ジャパン・ソサエティーはそのきずなをさらに強くする上で数々の貢献をしてこられました。文化、メディア、金融の首都であるニューヨークにあるという地の利を生かし、ジャパン・ソサエティー・オブ・ニューヨークは人と人との交流を深め、ビジネス、政策、文化などの分野での日米の交流に影響を与えてきました。ジャパン・ソサエティーが、創立以来100年の間に、2つの文化の間で人と人とのつながりを強められたことに、お祝いを申し上げます。

 私は、1960年10月に国務省に入省し、その後まもなく1961年1月に香港に配属されました。それ以来、日米同盟の重要性を強く認識してきました。香港駐在がアジアに深くかかわった最初でしたが、米国と日本はこの地域の安定と繁栄にとって欠かせないパートナーです。それから40年以上たちましたが、今でも変わらず米国のアジアへの関与に強い関心を持っています。私の国務副長官としての最初の公式の海外出張先が日本でしたし、昨年の8月にも日本を再訪しました。ワシントンでは加藤大使と定期的にお会いしています。加藤大使は米国で日本の国益を代表し、その職務を実に見事に果たしていらっしゃいます。

 この60年間、日米関係は米国のアジア政策の礎石でした。両国の同盟は、価値観を共有する同盟であり、ダイナミックな地域に安全と安定をもたらす揺るぎない力です。実際に、100年以上もの間、日本はアジアでビジネスに携わる米国人の最も重要な国でした。両国間の貿易は、世界中のあらゆる海を越えた2国間貿易を上回っています。両国で、世界の国内総生産(GDP)のほぼ40%を占めています。当然のことながら、この重要な関係はアジア太平洋地域全体にも大きな利益をもたらしてきました。しかも両国の同盟は、経済活動や商業的交流だけに止まらず、さらに多くを内包しています。

 米国にとって日本は第1級のパートナーです。テロとの戦いであろうと、北朝鮮とイランの核開発の野望を抑える場合であろうと、開発や統治に関する課題への取り組みであろうと、日本は責任ある世界のリーダーとして、世界秩序の管理者として、ほかに替わる者がいない不可欠な役割を果たしてきました。

 本日私は、現在、そして今後数年にわたり日米が協力して対処しなければならない、5つの重要な世界規模の課題についてお話ししたいと思います。テロとの戦いから、核の不拡散、世界の継続的な繁栄の確保に至るまで、日本と米国はこれまで手を携えて取り組んできました。今後もそれは変わらないと確信しています。今後の何十年かは、アジア地域の秩序を構築し、地球規模の気候変動に取り組むことでも、米国は日本と協力していきたいと思っています。

 第1に、両国は暴力的な過激主義やテロとの戦いという課題に対し、引き続き協力して立ち向かっていかなければなりません。過去の実績は、自信を持つに足るものです。米国は、日本がイラク再建のために、米国に次いで2番目となる50億ドルの援助を申し出てくれたことに感謝しています。援助はすべてイラク政府に提供されます。日米はその提供が速やかに行われるように引き続き協力を続けます。この援助は、サダム・フセインによって長い間顧みられなかった地域に清潔な水、電気、下水施設を提供してきました。日本の航空自衛隊は今もイラクで連合軍に対する後方支援を行っており、600回以上も輸送機を飛ばして、多くの国から50万トン以上の貨物を運搬しています。

 「イラクの自由」作戦後に最初に着任した駐イラク米国大使として、私はイラク南部での歴史に残る日米の協力を高く評価しています。また国務副長官として、日本の自衛隊および外務省職員が2004年から2006年まで拠点を置いたサマワが、現在ではイラクの中で最も安定した地域のひとつであると申し上げられることを大変喜ばしく思っています。サマワの治安はイラク軍の支配下にあります。それはまさにあるべき姿なのです。日本がこの地域に不可欠なサービスを提供したおかげで、この県内の何千ものイラクの人々がより良い生活を送っているのです。ある日本人外交官がイラクでの仕事について、「日本人であることを誇りに思えるような仕事」と語っています。すべての日本人が、民主的で安定したイラクをつくるために日本が行った貢献を誇りにするべきです。

 日本はアフガニスタンに対しても、多額の支援を行っています。連合軍によるアフガニスタン再建への取り組みに対する第3位の資金供与国として、日本は、アフガニスタンの高速道路である「環状道路」の再建を支援しました。さらに日本の海上自衛隊は「不朽の自由」作戦において、11カ国の同盟国の艦船に対して800回近くも給油を行い、非常に重要な後方支援を提供してきました。つい先ごろ給油活動の再開が国会で承認されましたが、大変喜ばしいことだと思います。これらの艦船は、アフガニスタンに向けた武器の密輸を阻止するための多国間の取り組みに貢献しています。これは、不朽の自由作戦と、テロとの戦いという国際社会のより広い取り組みに対する必要不可欠な貢献なのです。

 不拡散に関しては、日米には大量破壊兵器とその運搬手段から世界を守ることに共通の利益と目標があります。この問題に関する日本のリーダーシップは、今年主要8カ国首脳会議(G8)の議長国を務めることからも明らかです。福田首相はイランの核保有を許してはならないと明言されました。イラン政府に対し外交的圧力に訴える努力を継続するという点で、両国は一致しています。それは、イランがウラン濃縮活動の停止を拒み続けている限り、国際的圧力をかけ続けなければならないことを私たちが知っているからです。

 北朝鮮に関しては、日本は6者協議における大変重要なパートナーです。私たちは北朝鮮が、すべての核計画に関する「完全で正確な」申告をすることの重要性を理解しています。しかし、6者協議において検証可能な非核化という目標に重点的に取り組む一方で、米国は、北朝鮮が直接日本と拉致問題の解決に取り組むように継続して求めていきます。私たちは、日本国民にとって拉致問題がどれほど重大であるかを十分に理解しています。日本には、米国が拉致被害者やその家族のことを忘れないと確信していただきたいと思います。

 世界の2大経済大国として、持続可能な開発をもたらす世界の経済的繁栄を確実に継続することが、両国にとっての3番目の課題です。今後数年のうちに日本政府が自国の経済的繁栄を確保するために正しい選択をし、それによって世界の繁栄にも貢献してくれると私たちは確信しています。国内の経済改革と開放が不可欠です。特に金融分野でこれが必要ですが、それは東京が世界の金融の中心となるべきだからです。

 日米は開発途上国における2国間協力を推進するかたわら、21世紀において両国の経済実績をさらに向上させるために、引き続き緊密に協力していきます。例えば農業の自由化は、ドーハ開発ラウンドを推進していくために必要です。日米は2国間の次官級対話を行い、この問題を深く掘り下げた議論を行っておりますが、それは米国がドーハ開発ラウンドを成功させる上で、日本の協力に期待しているからです。実際、ドーハ開発ラウンドの成功は、世界の3大対外援助国の一翼を担う、日本の傑出した活動を補完するものです。アフリカでは、日本は重要な開発プロジェクトに対して積極的に貢献しています。今年5月には、日本は第4回アフリカ開発会議を主催します。米国は、この重要な会議に出席することを楽しみにしています。

 協調的かつ補完的な開発活動を通じ、私たちは、責任ある指導者がその国民に民主主義の利益をもたらす手助けをすることができます。両国の継続的なパートナーシップは、問題を抱えた地域で強力な統治と民主主義を促進する上で重要です。私たち米国人と日本人は、民主主義の希望はひとつの地域だけに限られているのではないことを知っており、今も独裁政治の下で苦しんでいる人々の叫びに応えなければなりません。ビルマでは特にその傾向が強く、ビルマ国民は、彼らの政治的自由を求める戦いにおいて、日本が素晴らしい民主主義国家として、精神的リーダーシップと実質的な援助を提供してくれることを期待しています。

 過去60年間と同様今日も、日米同盟はアジアにおける米国の安全保障体制の根幹です。事実、両国の2国間同盟はその範囲を拡大し、北大西洋条約機構(NATO)、インド、オーストラリアおよびその他のパートナーとより緊密に協力できるようになりました。私たちは、冷戦終結後、アジアおよびアジア以外の地域で日本が安全保障の推進のために努力していることを歓迎してきました。それは大きな貢献ですが、アジアの今後の安定と安全を確かなものにするという仕事はまだ完了しておりません。アジア、特に北東アジアの平和と安全を守る正式な機構は、その他の地域に比べ発展しておりません。米国を含むアジア太平洋諸国の間での外交および安全保障上の協力に付加価値を与える新しい多国間体制が構築されれば、この地域にとって大いに利益となるでしょう。このような多国間体制はさまざまな形態を取ることができますが、ひとつの考え方として、北東アジアにおける平和と安全を守る、より長期的な多国間機構の第一歩として、6者協議を利用する可能性もあります。朝鮮半島の非核化を達成した段階で、真剣にこの可能性を探っていきたい思っています。米国と日本はパートナー諸国と協力して、この地域の民主主義国が協力するための新しい枠組みをつくっていくこともできます。

 1世代前に設立された国際機関も、アジアの台頭に順応しなければなりません。米国が日本の国連安全保障理事会の常任理事国入りを支持するするのは、このような理由があるからです。私たちはまた、この地域で最も包括的な経済機構であるアジア太平洋経済協力会議(APEC)が、地域の傑出した経済機構に発展してほしいと思っています。日本は2010年にAPECの議長国を務めることになっており、米国も2011年に議長国を務めることを心待ちにしておりますが、それまでの2年間に協力してAPECを強化できるものと思います。

 最後に、米国と日本という世界の2大経済大国は、気候変動という深刻な課題に向き合わなければなりません。両国が協力すればするほど、世界全体のために多くのことを成し遂げることができます。先月(2007年12月)バリで開催された国連気候変動会議において、「バリ行動計画」について世界的な合意を形成することができました。この行動計画は、京都議定書が終了する2012年以降の気候変動に取り組む方法を策定するための2年間のロードマップ(行程表)です。私たちの目標は明確です。環境面で効果があり、しかも経済的に持続可能な、気候変動に関する国際的な解決策を見つけ出すことであり、この解決策は、米国と、そしてもちろん日本を含むすべての主要経済国が積極的に参加するものでなければなりません。

 日本の認知されたリーダーとしての役割は、気候変動が重点テーマになる今年のG8の議長国を日本が務めることに反映されています。美しい洞爺湖はこのような議論にふさわしい場所で、私たちはこのプロセスに積極的に参加することを心待ちにしています。さらにブッシュ大統領が昨年ドイツで開かれたG8に先立ち発表した主要経済国イニシアティブを、日本が引き続き支持していることを歓迎しています。実は今日、世界の経済、エネルギー消費および温暖化ガス排出量の80%を占める17カ国の代表が、ホノルルで行われている第2回エネルギー安全保障と気候変動に関する主要経済国会合に出席しています。この会議は、昨年9月にブッシュ大統領とライス国務長官が主催した第1回会議に続いて開催されるもので、バリ・ロードマップを評価し、世界の主要経済国が国連での交渉にどのように貢献できるかを検討することになっています。

 また9月の会議でブッシュ大統領が発表したクリーン技術基金に対し、日本が米国と並んで中心的な資金提供国となっていることに特に感謝しております。今後5年間で日本が技術の研究開発のために拠出を約束した300億ドルは、温暖化ガスの削減を、先進国および途上国の双方を含むすべての国々にとって達成可能な目標とするために役立つでしょう。

 米国は引き続き、信頼の精神で、これらの世界規模の問題すべてについて、日本と協力していきます。同時に、日本が強力な、信頼される地域のリーダーとしての役割をさらに発展させていくことを期待しています。日本はアジアで高い地位にありますが、長引く歴史問題がまだ残っています。日本が引き続き近隣諸国と協力して、東アジアが持つ大きな可能性を存分に発揮できるような関係を育むことを望んでいます。

 特に、日本と中国との関係は歴史的にも争いが多いものですが、その関係が改善していくのを見るのは喜ばしいことです。私たちは日中間の相互理解と協力を恐れていませんし、日本も米中間の理解と協力を恐れるべきではありません。これらは、3者のうち2者が勝てば残った者が負けるというゼロ・サムの関係ではありません。強力で、永続する、実績のある日米同盟という文脈では、米国は中国とも日本とも良好な関係を結ぶことができ、そしてこのような前向きの関係はすべての当事者にとっても良いものであるはずです。

 お集まりの皆様、私たちは、戦争の荒廃の中から生まれ、21世紀の行方を決定する価値観と制度を象徴するまでになった同盟を促進した、ジャパン・ソサエティーの創設者たちの先見の明に感謝しなければなりません。こうした価値観は自由というものの多くの側面を表しており、そしてこのような制度は民主主義をダイナミックに象徴しています。米国は、日本と強いパートナーシップを継続していくことを期待しています。これこそ、日米両国の平和、安全、繁栄にとって、さらにはアジア、そして世界にとって不可欠なものです。

 それでは質問にお答えしたいと思います。どうもありがとうございました。